IRDiRCは、希少疾患の研究を国際的に推進することを目的として、2011年に欧州委員会とアメリカ国立衛生研究所のイニシアチブによって設立されました。政府機関やNPO、製薬やバイオテクノロジーの民間企業、患者擁護団体と協働しながら、希少疾患の新たな診断方法・治療法の開発や、希少疾患に関する政策提言・ガイドライン作成を行っています。現在ではおよそ20カ国から50以上もの団体が参加し、日本からは2015年にAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)、2017年にNPO法人ASridが加盟しています。
加盟団体はすでに希少疾患領域で200もの新しい治療法を開発し、多くの実績を残しています。2017年から2027年までの目標では、
の3つを掲げています。
半期ごとには、「構成員委員会(Constituent Committees)」と「科学委員会(Scientific Committees)」がそれぞれ決めた特定のテーマに沿って、複数のタスク・フォースが時限的に設置されます。過去には「患者中心アウトカムの測定方法」や「オーファン・ドラッグの開発ガイドブック作成」などが取り組まれてきました。IRDiRCの実績や希少疾患の情報を広く共有するためにも、タスク・フォースのテーマに基づいたワークショップやIRDiRC主催の国際会議を、世界各地で不定期に開催しています。
なお、構成員委員会のなかには、資金提供団体や民間企業以外に、地域や国を代表する患者擁護団体で構成された「患者擁護団体委員会(Patient Advocacy Constituent Committee)」があります。同委員会は患者参画のインパクトを測定することや、開発プロセスにおいて患者参画が不可欠となる部分を明確化することに取り組み、希少疾患の診断方法・治療法の開発に貢献しています。
また、科学委員会は、「診断科学委員会(Diagnostics Scientific Committee)」、「領域横断科学委員会(Interdisciplinary Scientific Committee)」、「治療科学委員会(Therapies Scientific Committee)」の3つに分かれ、希少疾患領域の研究を促進するプロジェクトを提案したり、科学的知見からのアドバイスを行ったりします。それぞれの委員会のメンバーはおよそ15名で、研究者や患者擁護団体、製薬業界などの専門家・代表者から構成されています。
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